研究者情報
日立北高等学校3班 大塚裕貴・西村奏美・長田成美・古河美咲 筑波大学TA 末武大和・井出裕二・⽩⿃春菜
近年,日本では高齢化が進行しており,高齢者が日常生活を送る上で徒歩圏内に生活利便施設が存在することの重要性が高まっている。
特にコンビニエンスストアは,食品や日用品の購入だけでなく,公共料金の支払いや宅配サービスの受け取りなど,多様な役割を担う身近な生活インフラである。
しかし,日立北高校周辺や駅周辺など,本来需要が高いと考えられる地域においても,必ずしも十分な数のコンビニが配置されているとは限らず,
住民にとって利便性の低下や機会損失が生じている。
そこで本研究では,数理最適化の手法を用いて,限られた設置候補地の中から,住民ができるだけ短い距離で利用できるコンビニの配置を求めることを目的とする。
本研究で扱う問題は,複数のコンビニ設置候補地の中から,一定数の店舗を選択し,
すべての住民グループが徒歩で到達可能な範囲内でコンビニを利用できるように割り当てる施設配置問題である。
目的は,住民が利用するコンビニまでの移動距離をできるだけ短くすることである。
x
i
=
{
1
(候補地
i
に設置する場合)
0
(設置しない場合)
zij ∈ {0, 1}
0 ≤ yij ≤ 1
住民が割り当てられたコンビニまでの移動距離の総和を最小化する。
| min ∑i∈I ∑j∈J dijzij |
条件 1:距離制約
高齢者が徒歩で通える距離には上限があると考え,最大距離 D を超えるコンビニは利用できないものとする。
| dijzij ≤ D (∀i ∈ I, j ∈ J) |
この条件は目的関数と一見似ているが役割は異なる。目的関数は距離をできるだけ短くすることを目的としているのに対し,
本条件は「D を超える距離は現実的に利用不可能である」という現実のルールをモデルに反映するための制約である。
これにより,遠距離のコンビニが誤って割り当てられることを防ぐ。
条件 2:利用割合制約
各住民グループは必ずどこかのコンビニを利用する。
| ∑i∈I yij = 1 (∀j ∈ J) |
条件 3:店舗数制約
設置するコンビニの数は上限 N 以下とする。
| ∑i∈I xi ≤ N |
条件 4:未設置候補地の排除
設置されていない候補地には割り当てられない。
| zij ≤ xi (∀i ∈ I, j ∈ J) |

図1:実験結果
条件 5:利用割合と設置の関係
設置されていない候補地の利用割合は 0 とする。
| yij ≤ xi (∀i ∈ I, j ∈ J) |
条件 6:割り当てと利用割合の整合性
割り当てがない場合,利用割合は 0 とする。
| yij ≤ zij (∀i ∈ I, j ∈ J) |
数値実験では,住民グループおよびコンビニ候補地を二次元平面上にランダムに配置した。
住民グループは人口の異なる点として表し,人口の多さは点の大きさで表現した。
実験条件は以下の通りである。
最適化問題を解いた結果,すべての住民グループが徒歩 250m 以内で利用可能な 5 つのコンビニが選択された。
設置された候補地では xi = 1 となり,各住民グループは距離制約を満たすコンビニに割り当てられた。
この結果より,設定した制約条件の下で,住民の移動距離を抑えた効率的なコンビニ配置が可能であることが確認できた。

図2:改善案1

図3:改善案2
現状のモデルは住民の利便性を重視しているが,実際のコンビニ経営では集客性や採算性も重要である。
各候補地の周囲に商圏半径 R を設定し,その範囲内に最低商圏人口が存在しない候補地は事前に除外することで,
現実的な出店判断を反映した。
学校や駅の近くでは利用者が多く見込める一方,スーパーの近くでは競合により利用されにくいと仮定し,
候補地の生成確率に反映させた。
本研究では,数理最適化を用いてコンビニ配置問題を定式化し,住民の移動距離を抑えた配置を求めた。
また,距離制約や商圏人口といった現実的な条件を導入することで,より実用的なモデルを構築できた。
今後の課題としては,実際の地図データを用いた地形の考慮や,坂道など移動負担を反映した距離指標の導入が挙げられる。