パートナー情報
北海道天塩町
研究者情報
幸坂 麻琴(指導教員: 大澤 義明)

以上の点から実証分析ではこの西天北地域を対象地としている。

例: 「高緯度地域ほど太陽高度は低くなる」「格子状都市では平行な道路網から構成され、見通せる方向に規則がある」
そこで本研究の目的は、
「緯度や季節、時間帯という地理条件」「道路向きなどの都市条件」から、夕日・トワイライト景観に関する地域性を理論化し、その知見を西天北地域へ応用することとする。
夕日・トワイライト景観についての地域性を明らかにするために以下の分析を行った。
①理論分析 夕日・トワイライトの現象を理論化し、説明
②実証分析 道路に沿って観賞できる夕日・トワイライト景観の観測時期を算出
観測場所や観測時期に依存して太陽の方位角や太陽高度が異なるため、夕日・トワイライト景観は緯度や季節といった天文学的条件の影響を受ける。そこで太陽と地球との位置関係を単純化したモデルを構築し、緯度による観測時間や観測時刻、方位の違いから夕日・トワイライト景観の原理を解釈する。



1.時空間分析
(1)トワイライト時間の緯度変化


(2)トワイライト方位の緯度変化


夕日・トワイライトの理論モデルの妥当性を確認するために天文学に基づく精緻計算の値との比較を行った。

日本海側地域の都市からは道路に沿って夕日・トワイライトが観賞できる。そこで西天北地域の格子状の都市構造に着目して道路に沿って観賞できる夕日・トワイライト景観の観測時期を算出する。[5][6]


オロロンルートで結ばれている西天北地域には太陽光を町全体に通す格子状道路があり、道路軸の方位は様々であるため夕日・トワイライト景観の見え方も様々である。道路軸が多様で都市構造として統一感はないが、逆にどの時期に訪れてもいずれかの市町村では町全体で夕日・トワイライト景観を観賞できる。
京都市と西天北地域を比較すると、南に位置し格子状道路軸が東西南北に揃っている京都市は西天北地域より観測期間が短くなる。
夕日・トワイライト景観は、高緯度地域ならではの非日常的な地域資源である!

以上の結果から、夕日・トワイライトの優位性を踏まえ西天北地域一体での地域政策が有効である。
本研究の成果は、西天北地域にある北海道天塩町を中心に報告している。また研究成果からトワイライトを活かした以下の地域政策を提案している。

旧来より、地域の人々にとって「ここの夕景は綺麗」ということが言われてきましたが、今回の研究を通じて他地域と定量的に比較分析することによってトワイライト時間の長さや可視方位角の広さ、市街地の固有の道路形状、気象特性等から優位性があるというエビデンスを得ることができました。これらのことを、まずは広報・教育的なアプローチで地域の人に知ってもらい、近隣地域を含めた地域の共有財産として広域的な連携での利活用や施策展開について考えていきたいと思います。(天塩町総務課企画広報係 菅原 英人)
[1] 長沢 工 (1999): 日の出・日の入りの計算.地人書館.
[2] 佐藤 明達 (2007): 秋の日はつるべ落とし,天文教育,19(1), p.41.
[3] 佐藤明達 (2008): 秋の日はつるべ落とし(III),天文教育,20(1), pp.42-44.
[4] 渡部 潤一 (2007): 秋の日が,“つるべ落とし”のわけは?,Newton,27(11), p.128.
[5] ヒメネス・ベルデホ,ホアン・ラモン (1999): グリッド都市-スペイン植民都市の起源,形成,変容,転生-布野 修司訳.京都大学学術大会.
[6] 木曾 悠峻,久保 勝裕,安達 友広 (2020): 殖民地区画との関係からみた明治期の北海道市街地の設計手法.都市計画論文集,55(3), pp. 1280-1287.
この記事は、下記の論文を要約したものです。
幸坂 麻琴 (2021) 夕日・トワイライト景観を力にする地域活性化-地理条件に着目した理論と応用-、 2021年度 筑波大学 大学院 博士課程 理工情報生命学術院システム 情報工学研究群 修士論文。


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